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セルフテーピング冷え・むくみ編

冷えやむくみは血流の流れが原因!? 「バンデージ」を使って冷え・むくみ予防をはじめよう

「足の甲バンデージの巻き方」はこちら ▼

「寝る時に足先が冷える」「足がむくんで靴が履きにくい」など、足トラブルに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。その足の冷えやむくみ、放って置くと大病の元になるかもしれません。
冷えやむくみに悩まない快適な毎日を過ごすために、原因と自宅で簡単にできる予防法をサトウ血管外科クリニックの佐藤達朗先生にお聞きしました。
※ここで紹介するバンデージの巻き方は佐藤達朗先生の推奨を紹介しており、バトルウィンが推奨する内容とは異なります。

取材:宮崎 真歩

冷えやむくみの原因は「足の甲の血管」にある

―冬の時期は特に増える冷えやむくみなど足のトラブル。どうして起こるのでしょうか?

足の冷えやむくみは「血液の流れの悪さ」が関係しています。足には内側に通る大伏在静脈と、裏側を通る小伏在静脈というものがあり、2本の静脈が足の甲でアーチ状に繋がっています。このアーチ状静脈と動脈が繋がる血管を「抜け道血管【 動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)】」といいます。

抜け道血管は、足の甲の4趾間に存在します。この血管は、普段は閉じていますが、ある拍子で弁が開いてしまうことで、足先まで届くはずの動脈の血液が抜け道血管から大量に静脈に流れ込んでしまいます。その結果、動脈血流が低下することで、足先の冷えを引き起こします。

―むくみを起こすのも「抜け道血管」が原因ですか?

その通りです。抜け道血管を通り、動脈から血液が流れ込んでくることで、静脈の血液が増加します。同時に静脈に急な圧力がかかることで、血液内の液体成分である血漿が静脈壁から血管の外へしみ出し、リンパになります。このリンパが足の組織に溜まることで、むくみが発生します。
さらに、血管が拡張して血液が下から上へ押し上げられることでうっ滞を起こし、下からどんどんと血管が太くなり、瘤(こぶ)が形成されます。この現象が静脈瘤です。

―単なる冷えやむくみだと思っていたら、実は静脈瘤だったということがあるんですか?

静脈瘤には血管がボコボコと皮ふ表面に盛り上がり、見た目でわかる場合もあります。しかし、表面にボコボコがなくても、冷えやむくみ、だるさが慢性化して静脈瘤になっている可能性もあるのです。

―冷えやむくみの原因でもある「抜け道血管」が開くのはどんな時ですか?

まずは気温が上昇する時、足を温めた時に抜け道血管は開きやすくなります。足湯などで足の甲を温めた後、お湯から足を出したとたんに足先が冷えたり、温かい布団の中で足先だけが冷えるのも、抜け道血管の開きが関係しています。
飛行機に乗っている時にむくみやすく感じる人も多いと思いますが、気圧が低い時にも開きやすいです。また、梅雨や台風など天候の影響も大きく、低気圧の時はむくみやすくなります。
女性の場合は、ホルモンバランスが変化する生理中や、生理不順、更年期には下垂体から性腺刺激ホルモンが過剰に出ることで、肝臓から抜け道血管を開く因子が出てしまいます。
ほかにも、足先の動脈を収縮させる喫煙をはじめ、運動不足、便秘、過度なダイエット、脱水など、体の調子や生活習慣による静脈の流れが悪い時にも悪化しやすくなります。

冷えやむくみがさらなる重病につながることも

―冷え、むくみが引き起こす体へのリスクはありますか?

冷えやむくみ自体には大きな危険性はありませんが、抜け道血管は血管内の血流が増加することにより少しずつ心臓に負担を与えます。また、リンパとして液体が血管から出ることで、血液が濃くなり、血流も悪化します。血行不良が起こることで静脈内に血のかたまりである血栓ができやすくなるんです。この血栓が血管を流れ、肺に詰まると肺塞栓症を引き起こす可能性もあります。

―冷えやむくみが体の危険信号ということを知っておく必要がありますね。

そうですね。もう一つ症例をあげると、冷えやむくみが悪化すると、冷えを感じなくなってしまいます。日常的に抜け道血管が開いたままになってしまうと、二酸化炭素や老廃物を含んだ血液が指先に溜まったままになります。皮ふの上から触れると熱を持っているように感じるので、一見、冷えが治ったと錯覚してしまいますが、実は症状が進行している場合もあります。
抜け道血管の悪化は、足の爪にまで影響します。爪が変形したり、爪周辺が炎症を起こすこともあります。最悪の場合は、足の組織が死んでしまい、皮ふが潰瘍した部分から骨が出てきてしまう症例もあるのです。

自宅ですぐにできる冷え・むくみの予防方法

―冷えやむくみの悪化など、重篤な症状になる前に予防したいところですが、すぐはじめられる予防策はありますか?

簡単にはじめられる予防方法で、ぜひやっていただきたいことが2つあります。まずは、水を飲むことです。お茶やお酒、コーヒーは利尿作用があり、尿の排出が増えることで、体内の循環血液量が減少します。その際に、血圧を保つために細くなる血管を、濃い血液が流れようとするため余計に水分が出て、むくんでしまいます。一方、水を飲むことで循環血液量は増え、全身の血管が太くなり、良好な血流になるので、むくみの対策として推奨しています。

もう一つは、バンデージを使って足の甲を圧迫する方法です。足の甲にバンデージを巻きつけることで、抜け道血管が開かないように防止することができます。

冷えやむくみを予防する「足の甲バンデージ」

―具体的な巻き方を教えてください。

75mm幅のバンデージを足の甲に親指側から小指側に向かって3〜4周程度巻いていきます。この時、少しきついなと感じるぐらいに巻きつけることがポイントです。かかとを地面につけて、つま先を上げた体勢だとセルフでも巻きやすくなります。両足の甲に巻き終えたら、実際に歩いてみましょう。歩いてみて、足の関節や足先に痛みがなければ大丈夫です。冷えやむくみでお悩みの方は、歩いた瞬間に足の軽さや楽さを感じられると思います。

足の甲バンデージの巻き方

アーチ状静脈の上から圧迫するように巻きつけます。

3〜4周程度巻きつけます。

最後ははさみでカットします。

両足を巻いて完成です。

実際にサーモグラフィーを用いて検証したところ、抜け道血管によって血液が静脈に流れてしまった足先は、真っ青になっています。片方の足の甲にバンデージを巻いたところ、足先に血液が流れるようになったことで、黄色く反応し、冷えが改善されたことが分かります。(資料:48歳女性)

―巻くタイミングはいつがいいでしょうか?

基本的には一日中つけておいて構いません。日中は症状を感じないけど、夜寝る時の冷えに悩んでいる方は、就寝時にバンデージを巻いて寝てみてください。足先の冷えは改善され、朝起きると足がスッキリしたように感じられると思います。
女性の場合は、生理中に抜け道血管が開きやすくなるので、生理前後に巻いておくこともおすすめです。また、天気を確認して低気圧の日に巻いたり、自分の足のコンディションをチェックしながら、バンデージを巻く習慣を身につけましょう。

ー特に冷えやむくみが気になる時はどんな時ですか?

人体のメカニズムとして知っておいてほしいことがあります。人間の足には2つのポンプがあって、一つは足の甲、もう一つはふくらはぎです。この2つのポンプを機能させることでむくみは起こりにくくなります。つまり、長時間デスクワークの方や、立ちっぱなしの体勢が続くとむくみやすいのは、このポンプが機能していないからです。冷えやむくみの原因は日常生活も大きく関係しているので、ライフスタイルに応じた巻き方を工夫してみてください。

―足の甲バンデージにおすすめの素材はありますか?

中にはバンデージによってかぶれてしまう方もいます。通気性の良いものを選ぶことで、蒸れにくくかぶれを防げますよ。皮ふに着かないバンデージもあるので、かゆみやかぶれが気になる方はそのような素材を選びましょう。長時間つける場合は、薄くて伸縮性のある素材だと、フィット感もあり、歩く際も気になりません。

―冷えやむくみで悩んでいる方には、まず足の甲バンデージを試してもらいたいですね。

そう思います。適度な運動やバランスがとれた食事などを心がけることも大切です。そして、冷えやむくみが起こる体の仕組みを知って、大きな病気になる前に予防をはじめましょう。

佐藤 達朗
【プロフィール】
佐藤 達朗 
(さとう・たつろう)
1986年信州大学医学部を卒業後、神戸大学、兵庫県立こども病院、静岡県立総合病院、京都大学医学部の心臓血管外科などを経て武田病院グループにて心臓血管外科部長を務める。2008年3月に京都でサトウ血管外科クリニックを開院。

日本胸部外科学会認定医、日本外科学会認定医、日本心臓外科学会所属、日本血管外科学会等所属。

独自の静脈内レーザー手術の治療法を開発し、患者の痛みの軽減と再発率の減少に注力。20000肢以上の手術実績を持ち、下肢静脈治療の第一線で医療に従事している。