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スペシャルインタビュー

第二回:独立行政法人日本スポーツ復興センター 国立スポーツ科学センター スポーツ医学研究部 アスレティックトレーナー / 理学療法士:松田直樹さん

スポーツのおかげで自分は成長できた。いつかスポーツ界に恩返しをしたいと思っていたんです。

★なぜ、アスレティックトレーナーになったのですか?

松田:

実は子どもの頃、人とコミュニケーションを取るのが苦手だったんですよ。
それが学生時代に棒高跳びをはじめてから、競技活動で知り合った多くの人たちとのふれ合いを通して自分に自信がつきオープンになった、自分が変わったという経験があるんです。それでスポーツ界に何か恩返しをしたいと思っていました。

★それまでは何をしていたんですか?

松田:

大学卒業後、人間の身体にも興味があったので、短大に入り直して理学療法士の資格を取りました。その後病院で理学療法士として働き、一般の障害を持った方々のリハビリテーションのサポートをしていました。

★どのくらい病院に勤務していたのですか?

松田:

11年です。脳に重い障害を持った人や、認知的な問題を抱えた人など、言葉でコミュニケーションを取りにくい人たちにリハビリテーションをした経験は、今の仕事でとても役に立っています。

★ところで、松田さんは学生時代、どんな選手だったんですか?

松田:

高校時代、インターハイに"何とか出られた"レベルです。記録は伸びませんでしたけど、その分、人間として成長させてもらいましたね。
いろいろなアドバイスをしてくれるコーチやトレーナーが側にいたので、自然とスポーツ医学や人間の身体に興味を持つようになって、この道に進んだ気がします。

選手たちのメニューは完全オリジナル。目的やその日の体調に合わせて組み立てるので内容は毎日異なります。

★1日のスケジュールを教えてください。

松田:

センター内の宿泊施設に泊まり込む選手の場合、だいたい9時30分〜10時頃に私のところにやって来ます。その時に、「とりあえずコレをやっておいて」というファジーな対応をすると彼らのモチベーションは下がりますから、前夜に翌日のトレーニングのシナリオを作成しておきます。
その日の体調を参考に、明日の体の状態を予測して、選手別に午前と午後のシナリオを考えます。そして朝一番に選手のコンディションをチェックして、シナリオを微調整して、双方納得したうえで、その日のトレーニングやリハビリテーションを開始します。
1カ月後に選手があるべき姿をイメージして、1週間のスパンの中で何をやるべきなのか、そのために今日は何をすべきなのか、というようにロジカルなシナリオを組めば、選手たちに自覚が生まれ、はっきりとした目的意識を持つことができるので、辛いトレーニングであっても頑張り抜いてくれるんです。

★とてもハードな仕事ですね。

松田:

朝9時頃にセンターに入って、帰るのが深夜になることも多いので、楽な仕事ではありませんが、目標を明確に持っているアスリートが相手ですから、長時間にならざるを得ませんね。

★ご自身の健康管理のために何かしていますか?

松田:

時間が空いたときには選手たちに隠れて"コソ練"を少々(笑)。我々トレーナーの体のキレが悪いと、選手たちに対して説得力がなくなりますからね。



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